高松高等裁判所 昭和25年(う)318号 判決
職権で調査するに原判決はその判示及証拠によると判示物品の現実の販売価格を所謂課税標準として有罪を言渡しておることを認めることができるしかし物品税法第四条によれば本件紙の如きものについての物品税は、「製造場より移出せられたる物品の価格に応じ徴収す」るのであるから右に所謂物品の価格とは現実な取引価格を指す場合もあろうけれどもその物に統制額の指定があるか又その類似近似品等の場合は、その統制額又はそれに準ずる価格並その範囲内における現実の取引価格でなければならない等要するに公正、適法なる価格を指称するものと解すべきである。然るに紙には統制額の指定があつたのにこれを超える疑のある判示の現実販売価格を課税標準としたのは右法条の解釈乃至適用を誤つたもので、それは判決に影響を及ぼすことが明らかであり破棄を免かれない、
又物品税法第八条には、物品の製造業者は、毎月其の製造場から移出したる物品につき、所定の申告書を翌月一〇日までに政府に提出すべしとの規定があり政府は該申告書により税額を決定し徴収するのであるから物品税は月を標準とする所謂月税であり逋脱犯も亦個々の移出回数に拘らず月を標準として罪数を定めるものと解するさうすると原判決が昭和二四年三月中における判示四回の移出は包括した一罪とすべきものに対し刑法第四五条前段を適用した違法もあると言わなければならない(敍上違法があるけれども主文において一個の刑を言渡しておるのでこの点は破棄の理由にはならない。)